ぴこぴこどうぶつびょういん 1

ここはぴこぴこどうぶつびょういんです。


先生は、ひげもじゃのもじゃ先生。
 
きょうは 月よう日。
 
ごはんもたべたし、はもみがいたし、
かおもあらったし、トイレへもいきました。


「さて。」


と先生は、大きなのびをして、しんさつしつへむかいました。
 
しんさつしつには、かんごしのほわんさんが、いそがしくうごきまわっています。
 
先生がゆっくりと入ってきました。そして、
ゆっくりはくいをきて、ゆっくりちょうしんきをくびにかけて、
ゆっくりいすにすわります。こうしてまい日ははじまります。


「では、かんじゃさんを。」


 
ほわんさんが、よびました。


「ガオンさん、どうぞー」


ドアをあけて入ってきたのは、たぶんとらです。先生が、


「どうしましたか?」


とききました。


「あのー。ぼく。とらのガオンです。」
 
やっぱりとらでした。
 
ガオンさんが、


「ぼく、みんなにとらだと気づいてもらえないのです。」


「そうですか。まず、どうしてとらに見られないかですが、えーっと、かおがふつうよりも、すこしほそくてながいですね。もうひとつは、いろ白ということでしょうか。」
 
そうしたら、よこに立っていたほわんさんが、とつぜん大きなこえでわらいだしました。


「そうよねえ、これじゃあ、とらじゃなくて、まるでしまうまだわ。はっはっはっはっ。」


 
するとガオンさんの目が、みるみるなみだでいっぱいになって、


「ガオーン、ガオーン。」


と、大きなこえでなきだしたのです。


「そうなんです、先生。ついこのまえのことなんですけど、なかまのとらが、ぼくのこと、しまうまとまちがえて、もうすこしでたべられるところだったんです。」


 
なみだもつぎからつぎへとながれてきます。


「もじゃ先生、なんとかしてください、おねがいします。」
 
先生は、


「うーん。」


とうなってしまいました。しばらくして、


「わかりました、わかりました。まずはそのほそながいかおからなおしましょう。
ではいいですか。まずわたしがやってみせますから・・・。」


といって、先生はしんけんなかおでおおきくいきをすいこむと、いきをとめて、ほっぺを まあるくふくらませてみせました。


「さあ、ガオンさんどうぞ。」


ガオンさんも、大きくいきをすいこんで、いきをとめて、じっとしました。
かおがまっ赤になり、ほおもふくらんできました。


「いろじろのほうは、みかんをたくさんたべてなおしましょう。そのかわはおふろに入れて。」
 
ガオンさんは、ふくらませたかおのまま、


「だいじょうぶでしょうか?」


といいました。先生は小さなこえで、


「たぶん・・・よくなるでしょう。だめだったらまたきてください。」


 そのご、ガオンさんはかおがすこしまるくなり、いろもすこしきいろになったそうです。