ぴこぴこどうぶつびょういん 2−3


水ようびです。


ほわんさんは、だまったまま、いそがしくうごきまわっています。
もじゃ先生は、ゆっくりはくいをきて、ちょうしんきをくびにかけます。
 
ふたりともなにもはなしません。
 
びょういんのそとから、にぎやかなこえがきこえてきました。
もじゃ先生とほわんさんは、そとをのぞいてみました。
 
みんなが、空をみあげています。空には、ききゅうがうかんでいます。
 
ところが、とつぜん、そのききゅうがゆらゆらと、おちてきたのです。
 
みんな、しんぱいそうにみています。
 
おちてきたききゅうから、ペンギンがおりてきました。


「これはこれは、もじゃ先生。」


もじゃ先生はだまったまま、あたまをさげました。


「ぼく、ききゅうでたびをしています。でも、こまりました。
ききゅうがしぼんでしまったのです。」
 
ペンギンはかなしそうにききゅうを見ています。


「もう、たびをつづけることができません。」


先生はすこしかんがえて、しぼんだききゅうの下へいきました。


そして、大きくいきをすいこんで、おもいっきりいきをはきだしました。


「ふー!」


ところが、火はでません。
もじゃ先生ははずかしそうに、もどって、ほわんさんにいいました。


「ほわんさん、やってくれませんか?」


ほわんさんは、うなずくと、ききゅうの下へいきました。


そして、大きくいきをすいこんで、おもいっきりはきだしました。


「ブホー!」


ききゅうがみるみるふくらんでいきます。
ペンギンはいそいで、ききゅうにのります。


「ほわんさん、ありがとう。」


ききゅうはどんどん、そらにのぼっていきます。
みんな、うれしそうに、みています。
ペンギンも、うれしそうに手をふっています。


もじゃ先生が、
「ポッ。」
っと、いってみました。
火は出ません。


ほわんさんも、
「プッ。」
っと、いってみました。
火は出ません。